「文学部は意味ない」は本当か?3つの理由を検証してわかったこと【2026年9月更新】
「文学部は意味ない」「食べていけない」——うちも、親戚から面と向かって言われたことがあります。
娘が史学科(歴史学)を目指すと言い出したとき、正直、私も心のどこかで同じことを思っていました。この記事では、実際に娘が史学科を選び、総合型選抜で4校すべて史学系に出願して合格するまでに、わが家がこの言葉とどう向き合ったかをお話しします。
きっかけは小学生のときの大河ドラマだった

娘が戦国時代を好きになったのは、小学校低学年のときです。当時は家族そろってNHKの大河ドラマ「真田丸」を見るのが週末の習慣で、そこから興味を持ったのがはじまりでした。私の実家にあった歴史漫画を渡してみたところ、それを何度も読みふけっていたのも、この頃です。
その時点では、まだ「歴史が好きな子」というだけで、親としても特に気にとめていませんでした。習い事や興味の一つとして、いずれ他のことに関心が移っていくだろうと、正直なところ楽観的に見ていたのです。まさか大学受験の学部選びにまでつながるとは、当時は思ってもいませんでした。
「みんな戦国時代が好き」だと知って、少し悩んだ夏
転機は高校2年生のときのオープンキャンパスでした。G大学の史学科の先生とお話しする機会があり、そこで「史学科を目指す子は、みんな戦国時代が好きで入ってくる」と聞かされたそうです。先生に悪気はなく、むしろよくある話として気軽に言われたそうですが、娘にとっては小さくない衝撃だったようです。
娘は少し悩んだようでした。自分の中では特別だと思っていた「好き」が、実は多くの受験生が通る、ごくありふれた入り口の一つに過ぎなかったと知ったからです。同じ「好き」から出発しても、その先で何を積み重ねるかで差がつくのだと、このとき初めて意識したのではないかと思います。
準備を本格的に始めたのは、その年の10月からでした。総合型選抜では、探求活動の実績や、自分の関心をどれだけ深く掘り下げてきたかが問われます。娘は「発表できる場」を自分で探し、日本考古学協会が主催する高校生ポスターセッションにたどり着きました。そして高校3年の5月、そのポスターセッションで実際に発表を行ったのです。
参加者の多くは部活動単位でのグループ発表でしたが、娘は個人でテーマを決め、一人で発表に臨みました。テーマを絞り込み、資料を集め、発表の形にまとめていく——そこに至るまでの準備そのものが、娘にとって大きな力になったと感じています。教科書やオープンキャンパスの説明だけでは分からなかった、考古学という分野の奥深さとロマンに直接触れる貴重な機会になり、総合型選抜に向けた実績としても大きな意味を持ちました。「好きだから」の先に、「これを研究したい」という具体的な対象が見えてきた瞬間だったのだと思います。
学会のポスターセッションで知った「食べていける」の実際

娘が史学科を目指すと親戚に話したとき、返ってきたのは「史学科を出て、どういう就職があるの?食べていけるの?」という言葉でした。悪気はなく、素朴な心配だったと思います。正直に言うと、私自身も、心の中では同じ疑問を持っていました。文系、しかも歴史となると、就職先のイメージが湧きにくいのは、親世代であれば無理もないことだと思います。
その不安に変化が起きたのは、娘が参加した学会でのことです。考古学の分野は、発掘調査や文化財関連の仕事など、まだまだ採用の枠があるという話を、実際にその世界で働く方から直接聞いてきたのです。ニュースやインターネットの情報だけでは得られない、現場のリアルな声だったからこそ、説得力がありました。
この話を娘から聞いたとき、私は「食べていけるか」を大人が勝手にイメージだけで判断してはいけないのだと気づきました。就職に対する不安は、多くの場合、実際の情報ではなく、何となくのイメージから生まれているのかもしれません。娘はこの話を聞いて、ますます考古学への興味を深めていきました。
» 文学部の就職の実際
親戚の「食べていけるの?」にどう答えたか

結論から言うと、私たち親がしたのは「説得」ではなく「一緒に調べる」ことでした。頭ごなしに反対しても、娘の気持ちが変わるとは思えませんでしたし、逆に何も言わずに黙って認めるのも、親として無責任な気がしていました。私たちが選んだのは、次のような形です。
- 就職の実際について、娘が学会や大学の先生から聞いてきた話を家族で共有する
- 「なんとなく好き」で終わらせず、娘自身がポスターセッションのような現場に足を運ぶ機会を後押しする
- 親戚には、娘が実際に調べてきた話をそのまま伝える
反対するにも賛成するにも、まず本人が現場で得てきた情報が一番の説得材料になりました。わが家の場合、娘が総合型選抜で出願した4校は、すべて史学系の学科でした。ここまで気持ちが固まったのは、教室の中の勉強だけでなく、オープンキャンパスや学会という「外の世界」に触れた経験が大きかったと感じています。振り返ってみると、親が情報を与えるのではなく、本人が自分の足で情報を取りに行く経験そのものが、進路への確信を育てていたのだと思います。
それでも考えておいた方がいいこと
ここまで、わが家がたどってきた前向きな面をお伝えしてきましたが、良いことばかりだったわけではありません。振り返って、これから同じ道を考えるご家庭に伝えておきたいこともあります。
- 「なんとなく歴史が好き」で終わらず、学びたい対象が具体的にあるかどうか
- 就職の直結ルートがない分、学会やインターンなど本人が動く機会を後押しできるか
- 親世代の就職イメージは古い場合があるので、最新の情報は本人と一緒に調べ直すこと
どれも、娘の場合は結果的にクリアできましたが、必ずしもすべての子に当てはまるとは限りません。「好き」を「学びたい対象」に変えていく過程には、本人の行動力が欠かせないというのが、わが家の実感です。
親としてどう向き合うか
親世代の「文学部=就職に弱い」という記憶は、今の就活市場では更新が必要です。私自身、学生時代の感覚のまま娘の進路を見てしまいそうになったことが、正直何度もありました。反対する前に、まず本人が現場で調べてきたデータと、本人の考えを聞いてみてください。
本人が学びたいことを4年間学び切った経験は、どの学部であれ、その後の人生の土台になります。わが家はそれを、娘が現場に足を運んで得てきた言葉から実感しました。親にできるのは、正解を教えることではなく、本人が納得できる材料を集める過程を、隣で見守ることだけなのかもしれません。
文学部・史学科への不安 よくある質問
就職を考えて理系や他学部に変えるべき?
「就職のため」だけで興味のない学部に変えると、大学生活そのものへのモチベーションが続きにくくなります。わが家は、娘が実際に学会で得た情報をもとに判断しました。
文学部・史学科の学費は他学部と同じ?
私立文系はほぼ同水準で、実験・実習費がかからない分、理系より年間30〜50万円ほど安いのが一般的です。
「食べていけない」という言葉にどう向き合えばいい?
イメージだけで判断せず、実際にその分野で働く人の話や、最新の採用状況を本人が調べてくる機会を作ることをおすすめします。
反対する親戚を説得するには?
感情論ではなく、本人が現場(オープンキャンパス、学会など)で得てきた具体的な情報を、そのまま共有するのが一番効果的でした。
まとめ

「文学部は意味ない」という言葉は、わが家にも向けられました。けれど、娘が小学生の頃の大河ドラマから始まった興味を、オープンキャンパスや学会という現場での経験を通して深めていく過程を隣で見てきて、「意味があるかどうかは、本人がどれだけ現場に足を運んだか」で決まるのだと感じています。就職データや世間のイメージだけで判断していたら、娘の「好き」を後押しすることはできなかったかもしれません。
同じように文学部・史学科を迷っているご家庭の、少しでも安心につながればうれしいです。
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