総合型選抜とは?入試変更点と影響を徹底解説
総合型選抜は学業成績だけでなく学生一人ひとりの個性や才能を重視する入試方法で、多くの学生に選ばれています。芸術やスポーツの成果や活躍も加点されるので、学業以外に打ち込んできた学生にもチャンスがあります。しかし、総合型選抜の対策は一般の入試試験とは異なるので、しっかりとした事前準備が必要です。
この記事では、総合型選抜の基本から具体的な対策方法まで網羅的に解説します。記事を読むことで、総合型選抜についての理解が深まり、受験を優位に進められます。
総合型選抜とは成績以外の能力を評価する入試制度
総合型選抜は、学生の学業成績だけでなく、個性や多様な能力を総合的に評価する入試方法です。総合型選抜について以下のポイントを解説します。
- 総合型選抜の目的
- 総合型選抜と他の入試方式の違い
総合型選抜の目的
総合型選抜は学生の多様な能力や資質を幅広く評価するのが目的です。学業成績だけでなく特技や活動歴も考慮されるので、勉強以外に打ち込んできた学生には魅力的な選抜方法です。総合型選抜では学生一人ひとりの人間性や潜在能力を見極めます。
学生の自主性や主体性を重視し、大学の教育方針に合った人物像の学生を選抜します。
総合型選抜と他の入試方式の違い
総合型選抜と一般選抜の違いは以下のとおりです。
総合型選抜 | 一般選抜 |
学生の多面的な能力を評価 | 主に筆記試験の成績で評価 |
面接や小論文、推薦書など提出 | 試験解答のみ提出 |
学生一人ひとりの個性や能力を深く理解 | 客観的なデータに基づいて判断 |
特定の学科や専攻に対する強いモチベーションや適性を求められる | 広く基礎的な学力が求められる |
自らの経験や活動を具体的にアピールする必要がある | 自己アピールの機会は少ない |
総合型選抜と一般選抜では明確に違いがあります。学力だけでなく、自分の魅力を知って欲しいと考える学生には、総合型選抜がおすすめです。
総合型選抜の選考方法
総合型選抜の選考方法は以下のとおりです。
- 書類審査
- 面接試験
- 小論文
- その他の評価方法
その他の評価方法では実技試験やポートフォリオの提出など、学部によって特別な評価方法が含まれる場合があります。総合型選抜は学生の知識だけでなく思考力や表現力、コミュニケーション能力など多面的なスキルが評価されるのが特徴です。
書類審査
総合型選抜での書類審査は学業成績だけでなく、課外活動の記録も詳細にチェックされるのが特徴です。推薦状や自己推薦書の内容も精査され、応募者の適性や他者からの評価も選考基準になります。個性や特技を反映したポートフォリオも重要な審査材料です。
総合型選抜の書類審査では志望理由書や活動報告書を通じて、学生の志望動機や将来の展望を深く掘り下げます。大学入学後に、どのように自身の学びや活動に生かしていくのか評価するためです。書類審査では、学生の情報が正確なのか、一貫性があるかを厳密にチェックします。
面接試験
面接試験では、学生のコミュニケーション能力や思考力、自己表現能力や状況対応力が評価されます。質問内容は、提出した書類に記載された情報に基づいたものが一般的です。学生は自己PRをするだけでなく、学校や学部を志望した理由や、将来どのような計画を持っているのか具体的に説明します。
試験官は学生の倫理観や価値観を引き出すための質問もすることがあります。学校の教育方針や文化も事前に調査しておきましょう。面接試験は準備と練習が重要です。自分の強みや経験を具体的に話せるようにしておくと、自信を持って面接に臨めます。
小論文
小論文は多くの総合型選抜の選考過程に含まれ、学生にとっては重要な課題です。小論文の特徴は以下のとおりです。
- 課題は社会的なものや倫理的なもの、教育関連から出題されることが多い
- 字数や形式は大学によって異なるが、800〜2,000字程度が多い
- 論理的な構成、根拠の明確さ、言葉の適切な使用が評価ポイントになる
小論文は時事問題への意識や幅広い知識が問われます。事前準備として、日頃から読書などで深い思考を養いましょう。要点を捉え、論理的な流れで組み立てられた小論文は、試験官に良い印象を与えることが可能です。
その他の評価方法
大学によっては、口頭試問や模擬授業、グループディスカッションが評価に含まれる場合があるので対策が必要です。他にもポートフォリオを通じて、学生がこれまでに培ってきた作品や成果を確認することもあります。芸術系やスポーツ系の学部の場合は、実技試験も行われます。
総合型選抜では、単なる学力だけでなく学生の多面的な能力が評価されるため、準備には広範囲の対策が必要です。
総合型選抜の出願資格
総合型選抜の出願資格は以下をチェックしてください。
- 必要な学力と推薦条件
- 特技や資格が評価されるケース
- 併願する際の注意点
必要な学力と推薦条件
総合型選抜で入学を希望する学生は、高校の成績や試験の結果を通じて測定された学力が、一定水準以上であることが求められます。他にも特定の科目や分野に対する深い知識や興味も評価されるのが特徴です。受験には学校の推薦状が必要であり、人間性や社会への貢献度を評価するための重要な資料とされます。
コミュニケーション能力や問題解決能力など、非認知能力が高いことも評価されます。地域貢献やボランティア活動への参加など社会的な活動への参加経験も評価対象です。社会的活動を通じて、学生の責任感や協調性が明らかになるからです。総合型選抜では、学生の多面的な能力を評価しています。
特技や資格が評価されるケース
総合型選抜では特技や資格が評価されるケースが多いです。音楽や美術の技能が高い学生が芸術系学部を選ぶ場合や、スポーツで実績を持つ学生がスポーツ推薦を受ける場合などです。他にも以下のような資格や実績がある際はアピールするようにしましょう。
- スポーツ推薦入試で特定のスポーツにおける実績がある
- 外国語学部や国際関係学部で特定の言語の資格や試験に優れた成績を持つ
- 科学系学部で数学や物理のオリンピック等の競技で高い成績を収めている
- 情報系の学部でプログラミングやIT関連の資格を持つ
上記の特技や資格が、志望理由書や面接でどのように本人の学びたい分野と結びついているかを示せれば、高評価につながります。
併願する際の注意点
総合型選抜でも併願を認める大学は多いです。ただし併願する際は注意点があります。まず、各大学が設定している出願締切日を事前に確認し、スケジュールを計画的に管理してください。出願する大学の数に制限がある場合が多いため、各大学の規定をよく理解し、ルールを遵守しましょう。
出願書類が複数の大学で共通して使用できるかどうかを確認するのも大切です。共通して使用できない場合は、個別で書類を準備します。書類を作成する段階で、しっかりと各大学からの情報を収集し入試要項を理解しておくのが肝心です。
併願の場合はスケジュール調整も重要です。面接日程や試験日の重複に注意し、衝突を避けてください。受験校が増えれば、出願手数料や交通費などの費用も大きくなります。事前に計算し総額を把握しておきましょう。
総合型選抜のメリットとデメリット
総合型選抜のメリットとデメリットは以下のとおりです。
- 多角的な評価が受けられる
- 準備に時間と労力がかかる
多角的な評価が受けられる
総合型選抜における多角的な評価は、学生にとって非常に有利に働きます。単に学力だけではなく、個性や特技も重視されるからです。学校生活や部活動、ボランティア活動で培われたコミュニケーション能力や問題解決能力など、非認知能力も評価対象です。
総合型選抜では活動経験により育まれた能力も高く評価されます。活動履歴や自己表現も重視されるため、学生は自分の人格全体をアピールしましょう。総合型選抜では学力だけでない複数の評価基準により、学生を多角的に評価します。複数の評価基準による公平な選考が期待されるのが、総合型選抜のメリットです。
準備に時間と労力がかかる
総合型選抜では、広範囲の知識とスキルが求められます。一般選抜とは異なる書類審査や自己分析、エッセイの作成が必要です。面接や小論文では事前準備と練習が重要なので、多大なリソースを要します。応募に必要なポートフォリオや推薦状など、多くの資料を用意する手間も考慮しなければなりません。
労力と時間がかかることが総合型選抜のデメリットです。
総合型選抜に向いている学生の特徴
総合型選抜に向いている学生には以下のような特徴があります。
- 多様な学問分野に対する探求心が強い
- 自己表現能力が高い
- リーダーシップやチームワークに優れている
- 社会問題に対する関心が高い
- 時間管理能力が高い
- 創造性と問題解決能力を兼ね備えている
- 新しい環境や変化に対応できる適応力がある
総合型選抜では、自分の才能や経験をアピールすることが肝心です。
合格者の共通点
総合型選抜に合格する学生にはいくつかの共通点があります。一つは、自己表現力が高いことです。自己表現力の高さは、面接や小論文で自己の考えをはっきりと伝える力が求められます。教養と専門知識をバランス良く持ち合わせているのも特徴です。
多様なテーマに対して深い理解と豊かな知識を持っているので、グループディスカッションでも目立つ存在になります。課外活動や社会活動にも積極的に参加しており、コミュニケーション能力が高いのも合格者の共通点です。社会的活動の経験が豊富な学生は、チームでの作業やリーダーシップを兼ね備えています。
合格者には長期間にわたってコンスタントに学び続けている学生も多いです。継続的な学習は深い知識と柔軟な思考力を育てるので、総合型選抜の試験で求められる複雑な課題にも対応できます。
総合型選抜の対策方法
総合型選抜では以下の事前準備が重要です。
- 自己分析の方法
- 書類作成のポイント
- 面接対策
- 小論文の練習方法
自己分析の方法
自己分析は、総合型選抜を成功させるために非常に重要です。自己分析を通じて、自分の強みや弱み、興味や価値観を深く理解できます。過去の経験を振り返り、成功した点と改善が必要な点を明確にする作業から始めます。自分の立ち位置を客観的に評価し、どのようなアプローチが自分に合っているかを見極めることが大切です。
友人や家族からのフィードバックを集めるのも、自己認識を広げる手段です。自分では気づかない長所や短所が明らかになることもあり、自己分析の精度を高めることにつながります。定期的に自己分析を行うことで、自身の成長を確認し、必要に応じて計画を調整しましょう。
自分自身の洞察を深めることは、総合型選抜の書類作成や面接での自己PRに生かされます。
書類作成のポイント
書類作成時は、以下の3つのポイントに注意してください。
- 明確で具体的な自己紹介を書く
- 学業成績だけでなく部活動やボランティア活動などの課外活動も詳細に記述する
- 応募する学部や専攻に関連する経験や実績を強調する
書類全体の一貫性を保ちながら、論理的な流れで構成することも大切です。言葉遣いや文法にも気を配り、読みやすい文章を心がけます。提出前には何度も校正を行い、誤字脱字がないか確認してください。推薦書や参考資料に関しては、信頼できる人物からの提供が望ましいので、事前に準備しておきましょう。
面接対策
面接対策では、自己紹介の練習を行い、自分の強みや経験を簡潔に伝えられるようにしておきます。面接官が質問しそうなことを予想しておくのも重要です。次のような質問がよくされるので、事前に答えを準備しておきましょう。
- 志望動機
- 入学後に取り組みたいこと
- 併願校の有無
- オープンキャンパスへの参加経験
- 高校生活での思い出
- 自分の長所と短所
- 高校生活で特に力を入れたことや苦労したこと
- 最近注目しているニュースや話題
- 卒業後の進路
面接時には、身だしなみを整え清潔感のある服装を心がけてください。目線を合わせて話す、相手の話をしっかり聞くなど、基本的な礼節も大切です。友人や家族と面接練習を行い、フィードバックを受けておきましょう。緊張を和らげる方法も用意しておくと面接当日も安心です。
面接の際には試験官に対する敬意を示し、感謝の気持ちを表現することも、好印象につながります。
小論文の練習方法
総合型選抜には小論文を課す学部や学科が多いので、小論文の練習は不可欠です。小論文の書き方を身につければ、自分の意見や考えを明確に表現できます。既存の小論文の例題を解くことからスタートするのがおすすめです。既存の小論文の例題を解くことで、基本的な文章構造や書き方を習得できるからです。
指定されたテーマに対する幅広い知識は、論点を深く掘り下げるために役立ちます。関連する書籍や記事を読んで、テーマについての理解を深めておきましょう。自分の意見を整理するためにアウトラインを作成するのも効果的です。アウトラインを作成することで、論文の流れがスムーズになり、話がねじれにくくなります。
原稿用紙に書く前に、これから書く小論文の概要をまとめたメモのこと。
実際の試験に近い環境で練習を積むことも大切です。時間を計って実際の試験時間内で小論文を書く練習は、時間管理のスキルが向上するので、試験当日のプレッシャーを軽減します。書いた小論文は他人に添削してもらい、フィードバックを受けることで文章の質を高められます。
さまざまな角度からテーマを考えることも有効です。多面的な視点で文章が書ければ、小論文の説得力が増します。定期的に文章を書く練習をして、筆記スピードと文章の精度を向上させるのも小論文対策として欠かせません。
まとめ
総合型選抜は、学生のさまざまな能力を評価するための入試方式です。選抜方法は書類審査や面接、小論文などで、一般選抜とは異なる選考が行われるのが特徴です。学力だけでなく特技や資格も考慮され、多角的な評価を受けられます。
一方で、準備には時間と労力が必要なので、事前の入念な対策が必要です。総合型選抜は、勉学以外に打ち込んできた学生にチャンスがある試験方法です。事前対策をしっかりと行い、試験に臨みましょう。
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